世界セメント大手ホルシム、ブラジル事業売却 1120億円
【サンパウロ=外山尚之】世界セメント大手のホルシム(スイス)は10日、ブラジル事業を同国の鉄鋼大手CSNに売却すると発表した。売却額は10億2500万ドル(約1120億円)で、事業の選択と集中を進める。
ホルシムはブラジルでセメント工場や原料加工場などを運営していた。イェニッシュ最高経営責任者(CEO)は声明で「今回の投資撤退(ダイベストメント)は革新的で持続可能な建築ソリューション分野の世界的なリーダーになるための変革の一歩だ」と述べ、成長分野への投資や負債圧縮につなげると説明した。
ブラジルからは撤退するものの、アルゼンチンやメキシコなどでは事業を継続しており、中南米地域は中核戦略地域として今後も事業を続けていくという。
CSNは6月にもセメントを手掛ける地場企業を買収している。今回の買収により、同国でセメント業界3位となる。近年の経済低迷でブラジルの建設市場は伸び悩んでいるが、中長期的に成長機会が見込めるとしている。